第1話 「氷河期の中のサバイバルライフ」

水無月青志は、自宅の小さな窓から外を眺めた。天地が白一色に染まり、冷たい風が音もなく吹きすぎていく。外は一面の雪景色だ。数週間前、何気ない日常が一変し、地球規模の氷河期が訪れた。人々はこの惨状に驚き、街は混乱に陥っている。だが、青志にとってはそれがまた一つのチャレンジだ。彼はDIYとサバイバルの技術に自信を持っていた。

「これでなんとかなるはずだ」

青志は、DIYで作った小さなストーブの前に座り、煙草をふかした。ストーブは古い缶と木材を使って作ったもので、今のところしっかりと機能していた。暖かい火のぬくもりが、体に染み渡る。自宅の中では、冷たい外気を遮るため、窓には古い毛布を利用して防寒対策をしている。これが彼の唯一の防護策だ。窓から漏れる光を目安に、外の環境を観察する。人々が崩壊し、生き残るための戦いを始める中、青志は一匹狼の孤独な生活を選んだ。

「次は何を用意しようか」

青志は、自宅の収納棚を開ける。限られた資源の中、何が必要かを考察する。食料はまだあるが、冷蔵庫内のものが傷む前に何とか使い切らなければならない。冷凍庫もフル稼働だ。まずは昼食として、ポテトとキャベツのスープでも作ることにする。食材はほとんどが缶詰や冷凍食品だが、自給自足の方法を模索する必要があった。

「水はどうしよう」

青志は、格闘を始める。水を確保するために、雪を溶かして飲むことができる。それを考慮し、彼は庭に出て、雪を集めて大きな鍋に入れ、ストーブの上に置いた。地面にひざまずいて、冷たい手で雪を掬い上げる。子供の頃に遊んだことを思い出しながら、無心に作業を続けた。青志は、自然の厳しさを理解していた。雪解け水は非常に冷たく、すぐに手がかじかむ。それでも、彼は無駄を省き、効率よく雪を集めた。

「これで十分だろう」

鍋に入れた雪を見つめ、これが一杯の水になることを祈った。家に戻り、ストーブの火を強め、まずは雪が溶けるのを待つ。じっくりと時間をかけて、彼は静かに見守った。外の気温は氷点下だったが、青志の心は荒れ果てることなく穏やかだ。手に入れた水は貴重であり、こうした小さな成功が彼に力を与えてくれる。

その後、スープを作り始める。鍋が無事、雪を解かして水となり、やがて野菜を入れると、良い香りが漂ってくる。青志は、火を囲む暖かさとともに、スープの香りが彼を包む。無機質な生活の中でも、自ら手を加えることで、わずかでも心の満足感を得られるのだ。

青志は、料理をしている間に、次の計画を練ることにした。食料のストックを強化するために、いかにして自給自足を実現するか。彼は家庭菜園のことを思い出した。以前、彼は小さなベランダで野菜を育てていた。このスキルを活かすため、まずは自宅の庭に何かを植えることを考え始める。しかし、雪に覆われた今の状況では、それはかなり難しい。陽の光があまりにも不足しているため、簡易温室を作る必要があると感じた。

「まずは古いカーテンを使ってみようか」

青志は、思いついたらすぐに行動に移す。カーテンはありがたい資源だ。需要が高まっている今、周囲が混乱している中でも何とかなるだろう。しかし、彼はどうしても一人で進めることにこだわっていた。心に
「他者に頼ることはない」
と自分に言い聞かせながら、作業を続けた。

古い木箱を見つけ、そこにカーテンをかぶせて簡易的な温室を作成しようとする。熱を保つために、ペットボトルに水を入れて日向に置き、昼間の太陽で温める計画を立てた。その水を温室の中に置くことで、夜間の温度が下がっても、少しは温かさを保てるはずだ。

「どうにかなるはずだ」

青志は、自分自身に言い聞かせながら、古いカーテンを使っていくつかの温室を作った。試行錯誤を繰り返しながら、最終的には、夏野菜の種でも撒けるようになることを期待した。根菜類でさえ冷たくなった土壌に埋めることはできないが、温かさには感謝している。手を動かすことで、孤独感からも少しは解放されることを実感した。

その夜、青志は暖かいスープを食べて無事に満たされた。暖房はまだまだ必要だったが、何とかそれを乗り越えることに達成感を感じる。寝床に入ると、彼はほっとし、明日の準備を考える。食糧、資材、そして今後の生活を守るための手段。彼は、周囲の混沌を無視して、自分なりの生活を築いていく。辛い環境の中で、少しずつ未来を開く希望を持つのだった。

「明日にはもっと良い一日が来るだろう」

こうして、青志の孤独な日々は続き、自ら生き延びる術を見つけるための長い旅路が始まった。そして、数日後、彼の試みがどう実を結んでいくのか、まだ誰にもわからない。過酷な環境で生きることは、まさにギリギリの挑戦だ。しかし彼は、DIYとサバイバルスキルによって、希望を抱き続けて生きていくのであった。