第35話 「黒川梨乃の恋心と天然男子の物語」

今日は生徒会活動の日。私、黒川梨乃は、その手伝いをするために学校に早めに足を運んだ。最近、特に村上和真くんと一緒に過ごせるチャンスが増えているから、心がドキドキしている。和真くんは優しくて、何事にも気を使うお人好しだから、私はついつい彼のことを考えてしまうのだ。

生徒会室に近づくにつれ、彼の姿が見えた。ふんわりとしたミディアムヘアが陽の光に煌めいて、ちょっとした幻想的な雰囲気を醸し出している。彼は散歩中の犬と戯れたり、笑顔で同級生と交流したりしている。ああ、この優しさがまた私の心を掴んで離さないのだ。

「おはよう、黒川」

和真くんがにこっと笑いかけてくれた。その瞬間、私の心臓は大きく跳ね上がる。彼の笑顔は私にとって特別なものだ。私はお嬢様口調で、自然と出てしまう。

「おはようございます、和真くんですわ」

内心ドキドキしながら、私も同じく微笑む。周りの友達は私の気持ちに気づいているのだろうか。彼の優しさに引っ張られるように、私はどんどん彼にのめり込んでいく。一方を見つめている私に気づいて、ちょっと照れくさそうに和真くんは話しかける。

「今日は生徒会の手伝いがあるんだよね。頑張ろうね、黒川」

「はいですわ、和真くんと一緒に頑張りますわ」

この瞬間、他のクラスメイトたちは私の反応に気づいているはずだ。
「黒川の和真くんLOVE」
は公然の秘密だからだ。しかし、和真くん本人には全くその自覚がない。不思議なものだ。どうしてこんなに天然なのか。このまま彼との距離が縮まることを願いながら活動を始めた。

生徒会活動では、文化祭の準備がメインで、みんなでチラシの配布や飾り付けをすることになっている。準備中、私は和真くんの傍で手伝いをし、時々目を合わせることで、少しずつ距離を縮めようとする。しかし、和真くんはそんな私に気づかず、真剣に業務に集中していた。

「やっぱり和真くん、スポーツが得意とあって、飾り付けも丁寧ですわね」

「そんなことないよ。黒川の方が器用じゃない?いつもお弁当を手作りしているみたいだし」

「えぇ、恥ずかしいですわ。和真くんが食べてくれると、もっと頑張りたくなるのですわ」

私が勇気を出して言った言葉に、和真くんは少し驚いた様子を浮かべる。まったく鈍感な和真くんには、私の想いが全然伝わっていないようだ。

「え、ほんとうに?それなら、今度お弁当を持ってきてくれたら嬉しいな」

「もちろんですわ。和真くんだけの特別弁当ですから」

そんな会話をしていると、他のクラスメイトがやってきて、私たちのやり取りをからかう。

「お前ら、またラブラブっぽいことしてるの?」

「ほんとに仲いいよな!羨ましいな〜」

和真くんは照れくさそうに笑うが、私はその一言に心がドキリとした。これが噂の
「和真くんと黒川さんは付き合っているのでは?」
というやつだ。確かに私の心は彼に奪われる一方なのに、肝心な彼自身は одноглазый 彼女の存在すら考えていない。

恥ずかしい気持ちと同時に、少し苛立ちを覚える。私が強く隠していたい感情とは裏腹に、周りの視線が気になって仕方がない。何とかして、私の愛を和真くんに伝えなければ。私はついに決意する。

生徒会活動が終わり、彼と二人きりになるタイミングを見計らおう。くじけず、しっかりと彼の心に響く言葉を伝えるために。

その日はようやくその瞬間が訪れた。和真くんが椅子に座っているとき、周りが全て去った静寂の時を狙ったのだ。真剣な思いをこめて言葉を紡ぐ。

「和真くん、実はお伝えしたいことがあるのですわ」

彼は少し驚いた表情で私を見つめる。

「何かな?」

その瞬間、言葉が頭の中でぐるぐる回って出てこない。しかし、私は決意して口を開く。

「私、和真くんのことが好きですわ!」

言葉が耳に入った瞬間、彼は目をまん丸くし、驚きを隠せない様子だった。

「え、あれ?それって冗談だよね?」

あまりの天然さに、心の中で
「冗談って何ですの?」
と叫ぶ。

「いえ、冗談ではないのですわ。真剣に、和真くんのことが…。好き、なのですわ」

彼の表情は、さらに驚愕の色を帯びていく。ようやく彼自身の想いに気づいているのだろうか。このままの気持ちを伝え続けよう。

「どうしたら、和真くんにこの思いが伝わるのか、ずっと考えていましたの」

「それって、あの時のことを言ってるの?からかうつもりじゃなくて、本気だったの?」

「もちろん、和真くんを想う気持ちは真剣ですわ。だから、私にとってはとても大切なことなのですわ」

彼はまだ戸惑っている様子だった。ただ、彼が心のどこかで私のことを思ってくれているその瞬間が嬉しい。どんなに天然で鈍感な彼でも、私の真剣な思いを、少しでも受け止めてくれたらいいのに。

「うん、でもちょっと重いかも?ぎゅっとした愛の表現みたいじゃん」

その言葉が妙に可笑しくて、一瞬、ふっと緊張が緩んだ。はい、和真くんは本当に天然だ。

「そう、面白いと思いますわ。私みたいなヤンデレは少し危ないですか?」

「いや、全然危なくないよ。むしろ、こういうのって面白いかも」

彼の言葉に、少し安心感を覚える。しかし、彼の返答の意味を考えると、心がざわざわと波立った。私は一体、どうしたら彼にさらに気に入られるのだろう。

その日は完全に彼の返答を受け止めて、私の気持ちを受け止める方向に向いてくれた。この瞬間、一歩前進した気持ちになった。恋の道のりは長いけれど、少しずつ彼と通じ合えたような気がする。

それからというもの、和真くんとの距離が引っ張られ、彼と私の相思相愛の道が動き始める。もっと彼のことを知りたい、もっと彼を独占したい。私の中で妄想は広がり、意外にもやっと彼と並んで歩く日々を想像できるようになった。

生徒会活動の日々が続き、今後も彼とのデートの時間を意識しながら、気持ちを一層大切に育てていこうと心に決める。私の心がほんの少しでも通じ合った瞬間が、未来の楽しい日々へと続いていくと信じて。

私のヤンデレな恋心と、村上和真くんの天然さが交わる日常のラブコメは、まだ始まったばかりだ。これから色々なことが起こるだろうけれど、それを乗り越えて、彼の心をつかむために努力していこう。心のどこかでは、彼をずっと観察し、支え続けること決意して、恋の行方に身を任せていくつもりだ。