第33話 「厳冬の中での生存戦略」

水無月青志は、寒さから自分を守るための準備を進めるために温室に戻ると、まず目に入ったのは古い木製の棚だった。数年前に自作したものだが、寒さのためか一部が腐り始めている。彼は棚の下のスペースを片付け、そこに収めていた食材の残りを確認した。乾燥した保存食や、長持ちする缶詰が数つ残っており、彼の顔に安堵の表情が広がった。

「これでしばらくは大丈夫か」
とつぶやき、しばらくその場で考え込む。やはり、心のどこかで不足感を抱いていた彼には、何かしらの手当てが必要だと感じていた。冷静さを保ちながら考える彼は、動かさなければならないものが次々と思い浮かんできた。その作業をまずは片付け、次に必要な物を揃えなければならなかった。

思いついたことをメモに取るため、彼は古いノートを引っ張り出した。再利用可能な道具や材料、備蓄品を改めて整理することで、次の準備に取り掛かる段取りを整えた。

「まぁ、まずは、手持ちの防寒具を整えよう」
と心の中で決意する。古いコートの他にも、使い古したフリースや分厚いニット帽、手袋などを整理して、それぞれの性能を確認する。これらを組み合わせて、最大限の防寒効果を引き出すことが大切だった。彼は頭の中で、どの組み合わせが最適かを思案していく。

その傍らには、道具として必要なスコップやバケツが待機していた。これらを適切に繰り返し使用するためには、反戦の全てを説明する必要があると気づく。彼は道具を手に取り、雪を掘る準備をする。スコップの柄を握りしめ、力を入れてみる。昔と変わらぬ感触。しかし、ある程度以上の使用感が必要だ。彼は、さまざまな角度から道具を見て、どこに問題点があるかをじっくり考えていった。

外に出て、思い描いていた風の強い日はやはり吹き荒れていた。冬特有の厳しい冷たさが彼の肌を刺し、思い出させる。
「これから進む道がこれほどの障壁なのか。君が教えてくれているのか」
と青志は自嘲気味に笑う。日々の努力が実るのはどの段階であれと、自問自答するように小声でつぶやく。

しかし、外に出て決心した彼は、さらなる作業に移るには十分な意欲を示していた。スノーシューという工具を用いて、雪の上を歩く考えを思いつく。これは、雪を深く踏み込まずに済むよう設計された道具だ。自宅の周囲には他の道具がいっぱいあったので、適切なサイズを選ぶ必要がある。

「お人形遊びとは違う。目の前にある現実にどう立ち向かうかだ」
と彼はつぶやき、道具の使い方を再確認した。自分の生きるために、天地に見えない力を借りて行動する感覚だった。青志は、道具を使って雪を掘り替え歩くことで、次第に自分の作業場を広げていくことを決意した。

道具を集めて、青志は再び温室に戻る。そこで暖を取りながら、次のプランを練る。
「やはり、情報が必要だ。人と関わり合うこと。この環境で他者と協力できる余地があるのか。やってみる価値はある」
と自分を鼓舞しながら、思いを巡らせた。

逐次的に計画が具体化していく。近所の人々がどれほどのリソースを持っているのか、また、彼らがどのように協力して生き延びているのかを知るためには、その人々との接触が不可欠だ。彼は、自分の手で道を開通させることから始めようと決心した。

青志は筑波山の近くに住む老人から、つい最近の状況や物資の流通状況についての情報を得たことを思い出し、その教えを生かすことに決めた。自分自身が積極的に情報を得るため、まずは近所の人々との連絡をとる必要があった。リスクを承知の上で、彼は協力を求めることの重要性を強く感じていた。

次の行動計画を整えるなか、彼は通常の一日を感じるのを忘れなかった。生活をつなげる道を繰り返し考え、その中で備蓄を確認し、次に人との接点を持つことで生存率を上げようと務めた。身支度を整え、持ち物をまとめた後には、心構えを固めて再度外に出る準備が整った。

「行くぞ、青志。次に自分の進むべき道を創り出すのだ」
と決意を新たにして、外に出る。冷らしい空気を吸い込み、普段感じることの少ない高揚感が侮るべきではない現実に再び挑もうという気持ちを芽生えさせる。

彼は、積もった雪の上に自分の足跡を刻んでいく。その足跡は彼の強い意志と共鳴しているかのような感覚を覚えつつ、雪を掘り進めていく。手を動かし、道を切り開いていくと、不安のかけらもなく、彼は次第に周囲の景色に目を向けることができた。

風にさらされながらも、青志は自分のペースを失わず、道具を活用しながら進む。狭い近所の中を、他者との関わりを考慮して進むことで、どこか不安を解消するきっかけを見出すことができるかもしれない。

この厳しい環境の中で、彼は次第に自分を見つめ直し、他者との関係を考えることを受け入れつつあった。工夫し、DIYで物事を成し遂げることをし、同時に他人との交流を持ち、その中で生き延びる道を模索していた。

彼の目の前には、開通する道が待っている。そして、その道筋に新たな可能性を見出すことができる期待感が、青志の胸を高鳴らせるのだった。