第8話 「極寒の世界で生き延びるための挑戦」

外の冷たい風が彼の頬を叩く。水無月青志は、分厚い防寒具を一枚一枚重ね着し、装備を整えた。食材を自宅で探すことも大切だが、次の段階としては実際に外の世界に出て、新たな材料を手に入れることが求められていた。前日に作り上げたスープの温もりを感じながら、彼は心を決めた。準備が整ったら、いつでも行動を起こせる状態にしておく必要があった。

彼は自宅の中で材料をリストアップしていた。必要なものは何か、今後の食事に役立つ材料はどれか。思いを巡らせながらメモを取り、無言の時間を過ごす。ざっと頭の中を整理する。まずは、野菜や保存が利く乾物、さらにできれば肉類や魚も手に入れたいところだ。自宅の保存庫にある食材をフル活用するためには、多様性が必要だと感じていた。

「まずは近くの市場を中心に巡ってみよう」

そう口に出した青志は、クラフト用のリュックを持ち、量に応じて適した大きさの袋を用意した。外に出る前に、彼は道具を確認するためにテーブルに目をやる。自分の持つ制限された道具の中から、どれが役立つのかを考え、できる限り必要なものを選び取るのだ。体感温度が低い中、細心の注意を払いつつ、調理道具や長いロープ、夜間向けの簡素なライトを選別した。

「これだけあれば、万が一の時にも対応できるはずだ」

彼は確認作業を終え、準備を万全に整えた。外出が必要であれば、リスクも伴う。青志は道で行き交う人々のことを思い浮かべた。周囲には恐怖に満ちた様子の人たちがうろうろしていることもあったが、今は自分自身がどのように行動するかがもっと重要であると自身に言い聞かせた。彼が求めるのは、作ること、そして自らの生活を維持するための材料だけだ。

「そうだ、焦らずに行動しなきゃ」

自信を深めた青志は、最後に外の景色を確認するため小窓から外を見た。雪が積もる無機質な世界が広がり、太陽の光があまり当たらない暗い空が薄く見えていた。極寒の季節が彼を襲い、その中での生活が彼にどう影響を与えるのだろうか。不安と期待が入り交じり、同時に孤独の深さが心に刺さる。

「行くしかない」

改めて自らを鼓舞し、ドアを開けた。氷のついた床を踏みしめ、彼は外に一歩足を踏み出す。足元の冷たさがしみわたり、彼はすぐにある一定のパターンで歩くことを意識した。深呼吸し、凍りついた空気が体に広がる。その瞬間、彼の中にも不安を克服するエネルギーが湧いていくのを感じた。

近くに野菜を扱う小さな店が見えた。景色はどう変わったのだろうと、不安ながらも興味を持って近づいていった。かつての活気を探しつつ、建物の中に潜り込む。ドアを開けると、ショップの内部は薄暗く、棚の一部が雪の影響で覆われているのが確認できた。

「どうなっているんだ」

青志は心の中で思いながら、緊張感を持って棚を見回す。人物の姿は少ないが、少しだけ置かれた野菜や缶詰が冷たい手に温もりを求めるかのように存在している。彼は一つ一つ確認しながら、良さそうな乾物やお米、野菜を選んでいった。

「ニンジン、玉ねぎ、しばらく食べていなかったな」

その中で目を引いたのが、母がよく使っていたニンジンや玉ねぎ。思わず心が温まり、自身の料理への意欲が湧き上がる。それらをリュックに詰め込みながら、彼はさらに必要なものを求めて次の棚に目を向けた。食材の選別を続けていく第8話を設計していく。

そうして彼は様々な乾物や缶詰、停滞していた内容物の変化に驚きながらも、少しずつ品を増やしていった。冷たくなった体を温めるような心地よさが次第に広がり、彼は活気を取り戻している実感があった。

小一時間後、リュックに必要な食材をたっぷり詰め込み、彼は現実の孤独と向き合うことに決めた。ゴミだけが積もっていたこの世界においても、自身が求める食品を確保したことで生き延びる力を感じる。出発からの数時間で、遠くの借金が返済される気がした。

「次は何を探そう」

道に出て空を見上げた青志は、その寒さの中で新たに一歩を踏み出すことを決意した。彼の心には小さな期待が残り、今後の生活をどう立て直すかを描く想像ばかりが広がっていく。目指すべき未来のために、彼は次なる行動を考え続ける。

自宅に戻り、材料を整理していると、動く範囲がどんどん狭まっていく気がした。現実の厳しさが迫り、心の隅に不安が芽生える。その不安を掻き消し、DIY技術に目を向ける必要があることに気づいた。何か新しい工夫を取り入れて、今ある材料を最大限に引き出さなければ。

「そうだ、次はもう少し便利にする工夫を考えよう」

青志は今までのことを振り返り、どんなDIYができるかを思索した。時間がかかっても、結局より快適な生活が送れることを思い知った。その瞬間、彼の目はキラリと光った。さらなる工夫を模索する中で、外の冷たさを忘れた。

すでに缶詰や乾物を保存するための改善策としてスチールの棚を作り上げてきたが、今度は調理場所を確保し、暖かさを保つ工夫が必要だ。限られたものを最大限に活用し、無駄を省くための新たな執念を燃やしていた。

「暖を取れる場所を考えるべきだ」

青志は自宅の隅から古いらせん階段のある部屋へと目を移した。元々使われていた空間だったが、今は無用と化している。彼はそこをじっくりと観察することにした。この部屋を活用することで、外の寒さを少しでも凌ぐ手助けをしようと決意した。

古い布や段ボールが詰まっていることを確認した。これを使って簡素な収納機能を追加し、その上で暖を得るためのフレームを作っていけばよいと考えた。住環境の改善をすることが彼の心を弾ませた。出し入れする材料を収納するため、自身にかかる負担が少しでも軽減できれば、効率化への道も延びる。

「そう確信を持つものを形にしていこう」

青志は改めて自分の創作意欲を立て直し、その明るい未来のために手を動かすことを選んだ。新たに模索する手法を頭の中で描き、手元にある工具を整え始めた。恐怖や寒さのどん底から脱しようとする思いが、頭の上を冒険のように過ぎ去っていった。

DIYの発想が、青志の中に希望の光を放っていった。彼は素材を集めることで、ただ物質を求めるだけでなく、自身の世界をより豊かにする道筋を確立していったのだ。彼の手元には、自分の成長を記録する道具と材料が揃い始め、少しずつでも確実に自主的な生き方が築かれつつあった。

その時、空腹感を感じ、彼の意識は再び料理へと戻った。
「もう少しできたし、作り続けるんだ」
そう思いながら、青志は次なる食事を楽しむため新たに材料と向き合う。探検を続ける彼の思考は、自己流の食事としてさらなる栄養素を取入れる工夫へとつながっていくのだった。やがて彼は、極寒の世界で生き延びるための新たな形を手に入れ、自宅でのサバイバルへ向け歩み続ける。