公園の静けさの中、麗司は慎重に次の一歩を進めた。彼の心は静かでありながらも緊張感に満ちていた。周囲の状況に常に目を光らせながら、彼は自分の身を守るための準備を整えなければならなかった。ゾンビに襲われないためには、度重なる危機を乗り越えうるスキルが必要だ。大きな声で叫んだり、大きな動作をしたりすれば、あっという間に危険が迫る。音を立てないという基本的なことから始めるのが彼の第二の自然となっていた。
昨日のスーパーでの経験から、物資確保の必要性について強く感じていた。この街には人間が少なく、ほとんどがゾンビに変わってしまった。しかし、彼にとっての挑戦は物資確保だけではなかった。生き延びるためには、物資の持続的な供給が不可欠だ。彼の直感が、次の行動を模索するよう促した。
麗司はまっすぐにスーパーへと向かう決意を固めたが、その準備には時間がかかりそうだった。まずは手持ちの物資を整理し、自分が必要とするものを明確にする必要があった。今後の食料供給計画を考えると、事前に最低限必要なものを把握しておくのが賢い行動だ。彼は部屋に戻り、冷蔵庫や棚にある物資を確認することにした。
部屋に戻ると、麗司はまず冷蔵庫の扉を開けた。中にはまだ鮮度を保ったままの食材が収められている。肉、乳製品、そして一部の野菜。昨晩の夕食の残り物もあった。どれもただの食材ではなく、彼の生存戦略の一環だった。それぞれの食材にはその特性や保存可能な期間がある。彼はそれらをひとつずつ吟味した。
「今日使うべきは残りの肉だろう」
と彼は考える。傷みやすい肉を早急に消費するためのレシピを思い描く。簡単な焼き肉が思い浮かぶが、今日はそれだけに留めていては全体の計画が立たない。
「次のスーパー訪問の際に持ち帰りたい物リストを決めなければ」
と独り言を呟いた。
次いで、彼は食材の分別を行いながら計画を練り始めた。特に、今後数日のために、残りの肉、チーズ、そして乳製品をどれだけ効率的に使えるか考えることが重要だった。早めに食べ切るべきものは特定できたが、次にスーパーで手に入れるべきアイテムを列挙することこそが、この状況下で生存を掴む鍵となる。
食材を整理していると、耳に残る音があった。何かが外で動いているのだ。彼は普段とは違う警戒心を持ち、静かに窓のカーテンをわずかに開けて外を見る。ストリートは不気味に静まり返り、時折微かな音がその静寂を破る。しかし、遠くに見える影が動いているのを認め、彼はすぐさまカーテンを閉じた。それがゾンビなのか、もしくは他の生き残りなのかは分からなかったが、確認は不可欠だった。
「今は静かにするのが一番だ」
と彼は思い、再び計画に集中することにした。
「今必要な物資は何か。どうするべきか」
その疑問が頭を巡る。その時、冷蔵庫を思い返したことで、彼は食料備蓄とそれを補うための計画が現実的に実行される後ろ盾となることを感じた。
次のスーパーチェックには、いつものように食材を流通させるよりも独自の工夫が必要だろう。麗司は過去に読んだサバイバルガイドブックを思い出した。
「狩猟や採取も選択肢かもしれないが、現実にはそれほどの時間がかけられない」
と彼は自分に言い聞かせた。まずは物資の流れをスムーズにするために、必要な物を知り、仕入れる計画を練る、というのが露わになった。
彼は再びメモ用紙を手に取り、次回持ち帰るべき品々をリストアップし始めた。
「炭水化物、米、パスタ、缶詰、もちろん水も必要だ。後は、次の肉類をどの程度持ち帰れるか考えないと」
と、名前を書き連ねていく。リストは次第に長くなり、彼の生存に欠かせない品々がそこに集約されていった。
妄想を証明する話を彼の脳裏に巡らせていると、その中に浮かび上がり出たのが血なまぐさいシーンだった。彼は恐怖に襲われ、心臓が高鳴った。あのゾンビの存在が彼本来の生活を蝕んでいたのだ。そこで彼は意識を取り戻し、冷静さを保つことを再確認した。
「冷静でなければ、次の行動が計画通りに進まない」
と思い、頭を振った。
一通りの準備が整った頃、すでに時刻は遅くなっていた。
「今すぐ出発するのは気が引けるな」
と彼は思った。周囲は暗くなり、闇の中に何が潜んでいるのかわからない。この時の不安定な心情が、自らを追い詰めているのがわかる。彼は少しでも早く出かけることの必要性を感じていたが、なかなかその勇気が持てずにいた。
「やはり明日早朝に出発する必要がある。夜の方がゾンビの活動が活発になるはずだし」
と、決意を固めた。彼は最後に棚にある残り物を確認し、そのうち無駄にしないように意識を高めて周囲の静寂に耳を澄ました。
「明日になれば次の挑戦が待っている。準備万端で臨む必要がある」
と、心の内をさらに固くしていく。
それまでの彼は、逆境を楽しむ余裕があったが、現在の生活は新しく予想を超えたものであった。次の日の希望、元の生活に戻ることを願いつつ、空腹のための食事をしつつ、彼は次の作戦に向け考え続けていた。再度、メモ用紙を広げ、物資の計画を詳細に立てていく。
彼が心の準備を整えた後、外はますます暗くなり、静けさに包まれた。麗司はベッドに横たわり、明日に備えた。明日のサバイバル計画、すなわち再度地域のスーパーに挑むシナリオを、自らに課しつつ、気を引き締めて眠りについた。
新しい朝が訪れると、明るい日差しが窓を照らし始めた。麗司は早朝から起き、出発準備を整えた。
「よし、今日こそが勝負だ」
と鼻息を荒くし、冷蔵庫の中を見回す。残りの食材を使い切りながら次の戦略を考えることが求められている。彼は必要最低限の物を持参し、万全の態勢を整えた。
出発寸前には、自分の持ち物を最終確認する。リュックサックは軽くする必要があるため、
「何かを持ち込めば問題が発生しかねない」
と思いながら、現状の確認に集中した。彼は細心の注意を周囲に払いつつ、次の行動に踏み出した。
外へ降り立った瞬間、気温が冷たく感じられた。外は静まり返っていたが、周囲に何も存在しないことを再確認する。麗司はゆっくりと動き、近くの公園を通り越し、スーパーマーケットに向かって進んだ。音を立てないように自らに言い聞かせながら、彼は冷静さを保とうとした。
そして、彼が歩を進めるにつれて、周囲の気配に敏感になりながら、必要な物資を手に入れるための緊張感が高まっていく。都市崩壊の状況下での孤独なサバイバルは、生活を直視させ、彼の心に深い印象を与えていた。
「果たして、次の挑戦を乗り越えることができるのだろうか」
と内心自問しながら、彼は次に踏み出すべき一歩を考えていた。ゾンビに遭遇する可能性があることも理解しているが、その道を選ばざるを得ない。
「生き延びるためには、恐れないで挑むことが大事だ」
彼は自らに言い聞かせ、内なる勇気を呼び起こしていく。
道は彼をスーパーへの旅に導いていくが、その過程の先に待っている試練が麗司をただのサバイバルではなく、新たな生活への道を開くものであることに気づく。
「自分の運命を掴むための準備をしたのだから、進まなければ」
と彼は心に決めた。
彼の足は重く、胸にはあたたかい鼓動が響くが、彼は生き延びるために、自らの戦略をしっかりと持つことが必要だと理解していた。そうして、麗司はこの厳しくも希望を秘めた終末の世界で、さらなる挑戦に挑むための準備を進めていた。
