第49話 「自然との調和を求める青志の狩りの準備」

青志は、明日の狩りに向けての準備を進める決意を固めていた。焚き火のあたたかな光が彼を包み込む中、自分自身の生活がどれほど脆く、また強いのかを思い知らされる。極寒と孤独、そして途方もない挑戦の中で、ここまで生き延びてきたことを思い起こし、彼は内心で自分を鼓舞することにした。

まずは自宅の中を見渡した。家の中では、これまで集めた食料や道具が所狭しと並んでいる。乾燥した根菜や野生の果実、仕掛けた罠で捕まえた獲物が彼の食料庫として機能していた。青志はその中から、次の日に狙うべき獲物のための食料がどう必要かを真剣に考える。冷凍庫があるわけではないので、彼は食材を効果的に使わなければならなかった。新鮮さを求めて狩りに出かけるが、実際には根菜などの日持ちする食材を賢く使うことが重要だ。

「まずは、前回の狩りで獲れた動物の剥製作業を済ませておこう」
と、青志は思考をまとめる。獲物の皮を無駄にしないためにも、事前の準備は欠かせない。彼は静かに、焦らずにその作業に取り掛かることにした。作業台として使える場所を選び、空いたスペースに獲物を運ぶ。熱心に、正確にそれを処理することが必要だ。剥製のためには、まず皮を剥ぎ、内臓を取り除いて肉を使いやすくする必要がある。

外の冷気が彼の肌を冷やす一方で、家の中は焚き火によってその温かさが保たれていた。動物の皮を扱うためには慎重な作業が求められるため、運動量を抑えながら丁寧に進行させる。青志はしっかりと道具を手に取り、肉切り包丁を使って内臓を処理し始めた。何度も行った作業だが、そのたびに新たな発見や改良が生まれる彼は、手際よく動きながらも穏やかな心を保つことができた。

「自然と共に生きるための技術を磨くんだ」
と心の中で自分をリマインドしながら、彼は次第に作業が進むのを感じた。内臓を取り除いたあとは、肉を冷やすためにしばらく外に置くことにした。凍ってしまうと厄介なので、慎重にタイミングを見計らう必要がある。
「次の狩りで成功させるためには、経験を踏まえて戦略を練り直す必要がある」
と、彼は自分の立場を再確認しながら冬の厳しさを思い出し、次のステップに進む準備をする。

食材の処理が終わった後、青志は次に罠の仕掛けを見直すことにした。既に設置している罠がうまく機能しているか、動物が引っかかりやすくしているかどうかの確認は欠かせない。冷たい外気の中、彼は温かい服に身を包み、必要な道具を持って外に出た。大気はひんやりと澄み切っているが、彼の心は新たな決意で熱く燃えていた。

霜の降りた草木を踏みしめ、青志は設置した罠の場所へと向かう。外の視界は白く、静寂な印象が広がっており、時折雪の音を立てるだけだ。彼が設置した罠の一つを見つけると、彼はじっくりと周囲の環境を観察する。獲物が狩られる瞬間がどのように訪れるのか、動物たちがどのルートを通り、どう行動するのかを注意深く判断している。

「注意深く、観察や理解が必要だ」
と心の中で復唱しながら、彼は罠の状態を確認する。前回の仕掛けのおかげでなかなかの収穫を得たものの、完璧とは言えなかったことを思い出す。
「改善点を見つけることが成長に繋がる。何が悪かったのかを知る必要がある」
と自分に言い聞かせた。

罠の一つを丁寧に見つめると、青志は捕まる対象の動物の痕跡を確認した。獲物が罠を試した形跡があったので、成功する可能性はあると感じた。動物がどのように移動したのかを考慮しつつ、彼は改良する部分を具体的に考え始めた。トリガー部分の改良は今まさに彼の念頭にあり、どの位置に留め金を設けるかを念入りに考えている。

改良のための道具を取り出し、彼は早速作業に入った。木の幹を引き寄せ、慎重にトリガーの部分を調整していく。クリエイティブな思考を駆使し、動物たちが警戒心を持たずに通過できるように、巧妙に配置を変える。青志の手先は確かな感覚を持ちながら、目の前にある木材と道具を巧みに扱い、改良のプロセスに没頭していた。

時折、冷気が肌を刺激するたびに、彼はため息をつく。しかし彼の五感は極寒に負けることなく、楽しむように働いていた。自然の素材を使い、罠を進化させることに心を躍らせるのは真の喜びに他ならなかった。彼の頭の中には
「狩りのメソッド」
は多くの想像と実践から生まれていることがあった。

また雪が積もってきている。彼はすでに積もった雪にカモフラージュを施そうと考えながら、周囲を見回した。目的のために自然の素材がどれほど役立つか、青志は試行錯誤しながら、それぞれの道具を手にとっては位置関係を考える。
「全体のバランスを考えつつ、自然に馴染ませることができれば」
と思い描きながら、

改良した罠を再び設置する準備を進めた。彼の心の中で、次回の狩りの成功を夢見ながら、集中して作業に取り組む。動物たちが自らの命を求めている時、不意に自分自身もその命の大切さが肌で感じられる。罠が自然の中に完全に溶け込み、彼の工夫が実を結ぶ瞬間が、次第に見えてきた。

すべての準備を整えた後、青志はその場を離れることにした。次の狩りの日まで、彼は少しずつ心を落ち着かせる必要があった。自分の進むべき道を見つけるため、寒さと静寂の中で、彼は思索にふける時間を持とうとする。
「自然の中で生が営まれ、私たちが調和し続けられることを願う」
と心の中で誓う。

家に戻る途中、一瞬感じた希望の光が彼の心を軽くした。青志は新しい挑戦への期待感とともに桁外れの努力を感じ、心を高ぶる気持ちで満たしていた。
「明日が待ち遠しい」
と彼は考えながら、焚き火の明かりが待つ自宅へと戻っていった。