麗司はスーパーを後にする決意を固めながら、ゆっくりと周囲を確認した。彼の心には張り詰めた緊張感が漂っている。静寂の中に隙間風が吹き抜け、ほんの少しの気温の変化さえも、彼の感覚を刺激していた。何が待ち受けているのか、全く予測ができないこの場所で、彼は再び生き延びるための道筋を見つけなければならない。
心拍数が少しずつ落ち着くのを感じながら、彼は再び動き出した。最初に向かうべきは、彼が住むマンションだ。必要な物資を確保することで、ある程度の安心感を得ることができるだろう。ゾンビの気配が近づいてくるのではないかという不安が、時折脳裏に浮かぶが、その感覚と直面しながらも冷静さを保とうとしていた。
マンションへ向かう道は以前と同じだったが、一切の喧騒や活気は失われ、見るもの全てが異常な景色に変わっていた。かつて人気のある街路はゴミに埋もれ、打ち捨てられた車両が無造作に放置されている。麗司はそれを目にするたび、かつての日常がどのように崩壊してしまったのかを思い知らされる。
「これは自分の世界ではない」
と強く思った。生存のための工夫が求められる場面、彼は理屈を捨てて直感に従った。景色は変わり果てているが、自分の身を守るための判断が求められる今こそ、頭を働かせなければならない。
マンションのエントランスに辿り着くと、安堵の息をついた。ドアを開けて階段を駆け上がり、部屋の前にたどり着く。その瞬間、彼の心臓が大きく打ち震えた。周囲に危険が迫ってくる感覚が止まらない。脳裏にはゾンビの姿がちらつき、彼はその恐怖を抑えるように自分を奮い立たせた。
素早くドアを開けると、彼は部屋の中に飛び込んだ。閉じられた空間は、安心感をもたらしたが、その一方で孤独感も強く感じた。何もかもが混沌とし、外での緊張感がまだ彼を包んでいる。そのため、急いで物資を確保し、落ち着きたいという思いが彼を突き動かしていた。
まずは食料のストックを確認する。手に入れた缶詰やインスタント食品、そして調味料を適切に整理しなければならない。物資がどのくらい残っているのか、今後の生活をどうするかを考える重要な段階だ。この瞬間が、彼にとっての新たな生存の目前の視点を構築するのだと繰り返し思い続けた。彼はキッチンに向かい、食料の収納スペースを調べる。
冷蔵庫を開け、中には数種類の未開封の食品があった。缶詰、保存食、そして何より食材を工夫して使うことが今後の生活を支える基盤になる。麗司は考え込む。
「この食料をどう活用すれば、生き残れるのだろうか」
と。
彼は最初、食べ物を一日の量ごとに小分けにして収納し、使いやすく整備された食料庫を作ることを考えた。さらに、期間に応じて消費できるよう計画してみる。その際、内容物を記したラベルなどを作成し、データ管理を行なうことは、彼にとっての効率的な手法となるはずだった。
あらかじめ自分が一日どれだけの食料を消費するのかを考えながら、彼は食品を取り出していく。彼は大好物のインスタント麺や、長期保存のきく食品を手に取り、一つ一つ思考しながら選んでいく。
「食べ物の偏りをなくし、栄養バランスも考えなければ」
とも心の中で念じた。
気がつけば、彼は手に様々な食品を持っていたが、その時ふと意識が現実に引き戻される。食料を確保する重要性を理解しつつも、まだまだ先が見えない暗闇の中で生き延びるためには、さらに工夫が求められるのだ。
「自分の知識をいかに活かすかが問題だ」
と、強く決意をした。
次に彼が取り掛かる概要は水の確保だ。必要な飲料水を集めつつ、飲み水が手に入らない状況が続いた場合どこに目を向ければ良いのか考えなければならない。そのための情報源として、隣接する公園や近所のボトル装置、さらには近場の地下道や井戸などの方法を探る必要があった。
麗司は水を確保するため、部屋の中にあった空のペットボトルを取り出した。彼は空を抱え、思考を巡らせながらどんな方法で水を集めるのかを想像した。
「どれくらいの量を持ち帰れるだろうか」
と自問自答しつつ、どこに行くのが最も安全で効果的だろうかを見極めなければ。
彼は水の周囲に目を向け、持ち運び可能な空のボトルを集め始めた。
「料理用に使う水も必要だし、清潔さを保たなければ」
と、彼は生活全般を見渡して必要な水の量を計算し始めた。最小限の負担で効率よく水を取りに行くための方法を模索する。
さらに彼は、洗剤や消毒液といった生活必需品も忘れずに集めるべきだと考えた。日常的に使っていたアイテムが役立つときがやってくるかもしれない。時間を無駄にはできないと、動きながら頭の中で次々にアイデアを巡らせる。
生き延びるためには、今までの生活習慣を転換し、新しい適応を行わなければならない。彼は新たな挑戦に備えるべく、知識やアイデアを基に存分に活用する準備を進めていた。彼にとって環境が変わってしまったとしても、知識を駆使しても差し支えないと考えていた。
物品の整理を終えると、彼は一度深呼吸をする。部屋の中に漂う不安感が少し和らいだような気がした。彼は無駄な動きや焦りを捨て、冷静に今後の計画を立て直すことにした。
「まずは水の確保を行おう」
決意を胸に、麗司はエルメットをかぶり、必要な物品を持ち帰るための装備を整えた。不安はあるが、一歩外に踏み出す覚悟はできている。心の中で繰り返し生き続ける意志を固めながら、彼は外へと出て行くまでの準備を少しずつ整えていった。
続くサバイバルの旅の中、彼の選択がどう彼を導くのか、その過程の重要さに気付く時が来るだろう。麗司は今、孤独な生活の中でサバイバルを進める決意を新たにし、外の世界へ向かう準備を整えた。どんな困難が待ち構えていても、彼は生き延びるための一定の確信を持ち続けると決めたのだ。