麗司は、コンビニの中で確保した飲料水の数本をしっかり抱え、外に出た瞬間、自身の緊張が解けるのを感じた。足早に空き地の方へ向かうと、振り返りながら、まだ周囲にゾンビの影がないことを確認する。無事に水を手に入れることができたが、安堵する間もなく次の生存戦略を考えなくてはならなかった。
彼は飲料水を一時的に置くため、近くの物陰を見つけ、その場にしゃがみ込んだ。心臓の鼓動はまだ速く、継続する緊張を感じる。周る空気にも不気味さが漂っていた。生存のためには、食料と水の確保が不可欠だが、次にどう動くか、選択が彼を待ち受けている。
「とりあえず、次は食料だ」
彼は思いを集中させ、自身のプランを練る。スーパーマーケットでの物資確保が必要なのは明白だが、その場所は予想以上に危険で、ゾンビの動きも気になる。足元には食料のストックがちらりと見えてはならない、そう感じながらも次第に不安は募っていく。彼は再びコンビニの奥に向かうことを考え、様々な選択肢を模索する。
辺りの静けさを気にしながら、麗司は一つずつ思考を進めていく。
「ゾンビの動きから逃げられる可能性、高い場所はどこか、逃げ道は確保できるだろうか」
まるで何かに取り憑かれたかのように、頭の中であれこれと考えは巡るが、実際の行動へはなかなか移れない。ひたすら警戒心を持たない限り、安易に外に出ることができなかった。
「まずは、どの時間帯が安全か見計らう必要がある。それから目の前の道をどう確保するか」
頭を冷やそうと、何度も自分に言い聞かせた。意識を集中させつつ、麗司は懐かしい記憶の中で自己の経験や知識を紐解き、メリットとデメリットを天秤のように並べ立てていた。
時間は長い。自分が実際に動き出すまでの道のりはゆっくりとし、決定を下すことが難しい。コンビニ周辺の静けさがまだ続いていたため、麗司は動く気持ちとそれに伴う恐怖が交錯し続ける。彼はしばらく待ち続けた後、今度はその場から周囲を見渡して情報を収集しようと心に決めた。
移動する前に、物陰から少しずつ視界を広げ、周囲に気配がないか確認する。余裕を持ちつつ動くことが彼の計画に不可欠であった。それと同時に、他の人々も生存している可能性があるのだという希望は消えませんでした。むしろ、彼にはそれが大きな支えだった。
再度周囲を見渡し、麗司は意を決して立ち上がった。冷たい風が彼の頬を撫で、少しでも気を引き締めさせる。
「今がチャンスだ、急がなきゃ」
彼は心の中でつぶやき、すぐさま近くのビルへ向かうことを決める。周囲に音を立てないよう、忍び足で移動する。その先にはスーパーマーケットがある。あの場所で再度物資を確保することが、今後のサバイバルにとって重要であると確信していた。
足音を忍ばせ、彼はビルの影を利用しながら慎重に進む。道のりは普段の生活の延長とはかけ離れ、彼の心は興奮と不安で揺れ動いていた。前方に進む風景はかつての華やかだった都会の面影を失い、代わりに荒廃した建物や倒れた車が致命的な静けさを醸し出している。周囲の空気が冷や汗を誘い、その恐怖感が彼の心を何度も揺さぶった。
スーパーマーケットの明かりが見えてくると、麗司は安堵の表情を浮かべた。
「着いた、全てがうまくいくように」
心の中で念じ、周囲を見回す。ゾンビはまだ視界に入らない。彼は今日は何とか生き延びるチャンスがあることに希望を感じ、足を早める。
スーパーマーケットの大きな入口に近づくにつれ、麗司は緊張感を持続させる。音に反応するゾンビが残っている可能性を考えると、すぐに飛び込むことはできない。
「一旦周りを見張るべきだ」
入り口の周囲にゾンビがいないことを確認するため、彼は物陰で少し待機した。
時折、周りで何か不審な音がしないか、耳を澄ませる。徐々に、周囲の環境を探ることが彼にとっての重要な任務と化していく。もちろん、生き残るためには行動を起こさなければならないのだが、この時間を無駄にしてはいけないとも理解していた。
周囲に注意を払いながら、麗司はしばらく様子を窺った後、ついにその入口に足を踏み入れることを決意する。その一歩は、彼にとって新たな挑戦の始まりだった。入口が開くと、かつての賑わいが消えたその場所は、不気味な静寂に包まれていた。彼は極めて慎重に店内に足を踏み入れ、ドアの開閉音さえも響いてしまうのではないかと不安になった。
静岡な店内を見渡し、ラックの間を進む。周囲は冷たい空気が充満し、今となっては死の空間のようだ。普段はただ使われるだけの場所が、今は彼の命綱そのものになり得るとの思考が頭を駆け巡り、ひたすら早く食料を見つけたいと焦りが増していく。
麗司は目の前の棚を目指し、冷蔵庫の向こうから挑戦的な声音が響くのを聞いた。
「早く…早く…急がなきゃ」
いつどこからやって来るか分からない恐れが心の片隅にあるため、意識が高まる。そして、再度自分に言い聞かせた。
「冷静に、必要なものを効率的に探すんだ」
浮き沈む気持ちに逆らいつつ急いで探し始める。
自分の運を信じ、何が手に入るか、あるいは何が賞味期限に反しているのかという判断も考え抜いて。あの水の味を思い出しながら、彼は冷蔵庫を開け、新鮮な食料がまだ残っていないかと探し続ける。収納された棚を見つつ、その中に唯一の希望を見つけることができると信じたのだ。
食料を手に入れ、他の食材も選んでいく。パッケージはもちろんのこと、空全体が不審で警戒心を持っての行動を続ける中、彼の心は次第に緊張し、そして希望が生まれてきた。その瞬間、彼の心も思考も全ての意識が集中していた。確保したいものを一つ一つ選び取り、ついに数つを手にすることができた。
「よし、これだ!」
とつぶやきながら、袋を抱え込む。心の中に少し安心が広がるが、それだけでは生き延びられないのだと彼は知っていた。意識するのはここからの動きだ。早く出なければ、急いで非難するための動作をすぐにしなければと身を強く引き締める。
麗司の心はザワザワした。食料を手にしていること、すぐに外に出ること、それらのすべてに気持ちが高まる。動作を迅速にしながらも警戒を保つ彼の間に、一瞬の隙が生まれる。外から響く気配は明らかにゾンビから来たものだ。彼の頭がすぐに反応し、どうあるべきか思考を急ぐ。
袋の中に入った食料で重みを感じ、そのまま駆け抜けるかどうかを悩む。どうするべきなのか、命を懸けたこの選択が決定的に変わる可能性がある。
「ここは囁くように、この運を信じてやり過ごす」
すでに帰り道は想像できている。
「急がないと、奴らに見つかる」
麗司の思考は静けさを失っていく。
一歩一歩進む度に、周囲の状況には敏感にならざるを得ない。明らかに響く音から近づいてきている何かの気配に、彼の動きは緊張の糸で形成されている。逃げ道は開けているが、その一歩がどれだけ周囲の状況に影響を与えるのかが不安でたまらなかった。
「すぐ外に出る…そして私を迎えに来る音に耳を澄ます」
生存を懸けた選択は、常に彼を足踏みさせ、次の行動へ進ませることとなる。すべてを絡めて、対処の術を磨こうとしている自分に反して、動作は避けられないものであることを彼は実感していた。
冷や汗をかきながら、麗司は心の底にある何かを悟り、もう一度目を閉じた。
「生き延びるために、必ず次の谷を越えるんだ」
自分自信の内なる声を励みにし、幸福を手に入れる決意を持つことが彼の心には揺るぎない信念であった。目的を捨てるわけにはいかぬこの状況で、彼は真剣に現状に挑むのだろうと感じながら。
彼の好きな言葉で、自らを戒めるように、麗司は闘志を高めた。次の生存のための準備が彼を待っている、そう思いながら。彼の選択肢は、今も未来を強いられている彼に影響を与える一つの鍵になるに違いなかった。生き延びるための知恵を武器に、彼は今、冒険者として新しい世界へ向かう。希望の光をしっかりと信じている、彼の心はその情熱に満ちていた。
麗司は生き延びるため、明るい未来を信じ、自身の限界に挑みながら進むのだった。サバイバルの道が待ち受けるなか、現実を冷静に見極め、希望を果たすために、彼は意を決して行動しつづける。