麗司は目の前の扉を開けることに決めた。コンビニの中の静けさが彼を包み込み、耳の奥に響く心拍音が自らの存在を強く意識させる。恐ろしい状況が広がる中で、この一歩を踏み出すことが、彼の運命を左右するかもしれない。彼はゆっくりと、その扉を引いた。
「ここで行動しない限り、何も得られない」
内なる声が彼を鼓舞し、直面する危機への恐怖を少しだけ和らげてくれた。けれども、店内に入ると、麗司の心はまた不安に包まれる。暗い店内は無残な状態に荒れており、かつての温もりはまるで彼の手からこぼれ落ちてしまったかのようだ。散乱する商品や崩れた棚を目の前に、彼は冷静な判断を維持するために必死だった。
彼の視線が冷蔵庫に向かう。それを開けると、冷気が彼の肌を撫でるが、目に入ったのはすでに腐敗した牛乳や不安なサラダばかりだった。期待していた食料はほとんど無く、薄暗い店内の中で危機感はますます高まる。彼は
「何か有効な物を得る必要がある」
と強く思った。
周囲を見回し、他の棚をチェックしていく。彼は使命を感じながら、時間が許す限り何かを見つけ出すことを考えた。日用品の売り場が目に入る。ペットボトル飲料や保存食が手に入る可能性がある。彼はそこに移動し、缶詰やカップ麺の棚に向かっていく。
缶詰を見つけた瞬間、その一瞬は彼にとって非常に重要な時間となった。多くのものが潰れたり、ダメになったりしていたが、彼はその中から条件が良い缶詰を選び出し、リュックに詰め込んでいく。少しでも役立つものであれば、無駄にするわけにはいかない。彼の心の中には、戦う気持ちと生存への執念が渦巻いていた。
そのとき、後ろから響いたガチャンという音に彼は反応した。肝を冷やす瞬間だった。彼の心臓が一瞬、止まったかのように感じる。血が一気に引いていくような感覚を味わいながら、麗司はその場から逃げなければならないと身構えた。
彼は音の正体を探りながら、静かに後ろに下がる。行動しすぎれば、命を落とすリスクがある。彼は無意識のうちに小さな体を隠すようにし、足音が目立たないように気を配りながらその場を離れた。彼は心の中で思った。
「しばらく静かに様子を見た方がいい。自分の安全を確保してから次の行動に移るべきだ」
静かにトイレ側の小部屋に移動し、扉を閉めて、身を潜めた。ここなら、音も外に響かず、様子を伺うことができる。彼はしばらくの間、じっと待機することにした。周囲の音に注意を払うことで、次の行動を計画する時間を得るためだ。
時間が経過するにつれ、表の音が徐々に遠のいていく。麗司は自分の心拍数が落ち着くのを感じた。
「どうやら、あの音の正体は何か別の物である可能性が高い。この空間では、確実に物資を得る必要がある」
と彼は再度自分に言い聞かせた。
数分後、静寂が続く中、彼は思い切ってトイレの扉を開けて、再び外に出ることを決意した。耳を澄ましながら、周囲を観察し、防衛本能を働かせる。頭を働かせて、周りの状況を分析する。彼は今後の行動計画を思索する。
「まずは、持っている物資でどれほど生き延びるかを計算しなければならない。何日の食料が役立ち、次にどこに行くべきかを考えなければ」
麗司は目の前の景色を慎重に観察しつつ、頭の中でシミュレーションを行う。彼は、自分の限られた資源を知恵を使ってどう活かすかが重要だと痛感していた。何も得られなければ、彼の努力も無駄になってしまう。現実を直視しなければならない、今彼が持っているものでできる限りの工夫をし、次の生存の道を切り開いていく覚悟を決めた。
物の考えを巡らせながら、彼は手に入れた缶詰を点検する。
「これで何日分生き延びられるか、すぐに計算しないと。物によっては、冷蔵庫にあったものよりも持ち運びやすいが、無理に食べて体を壊しては意味がないだろう」
自らに厳しく言い聞かせ、彼の思考は徐々にクリアになっていく。
彼は次に立ち位置を変え、周囲を再確認した。ゾンビが近づいている気配がないことを確認し、物資の確保へと向かう。どれだけの労力が必要かを計算し、実際に行動するための準備を整える。
「次にどんな物資を求めるか、次の行動はどうするか必要だ」
麗司は自身のリュックから缶詰を取り出し、いくつかを中に移し入れた。さらなる備えが必要だ。そして、彼は再度冷蔵室寄りへと移動し、何か役立つ食料の最後の可能性を探すことを決意した。
次なる一歩のため、麗司の中に激しい感情が渦巻いていた。
「自分が望む生とは何か。それを日々思い起こさなければならない」
と彼の心に強く響く。生き延びるためには、一日でも長く自分の存在を続ける選択を取らなくてはならないのだ。
冷蔵庫を開くと、必要とあらば何か生き延びる材料があるかもしれない。腐った食品も多く、できるだけ自分の嗅覚を研ぎ澄ませ、目の前の危険を避けながらも食料を探し続けることが必要だ。自分にできる状況の中、粘り強さが問われる。
麗司は自らに問いかける。
「幸いにも、少しの生き残った食材はある。あとは、ここからどう逃げ出すかだ」
彼はその後どうするかを考え続け、焦りは禁物だと自分に言い聞かせる。不安を消し去り、今この瞬間に集中する必要がある。
彼は外に全神経を集中させ、視線を冷蔵庫の最深部まで伸ばした。
「腐敗が進んでいるか、あるいはしばらく持つのか、しっかりと見極めて判断しなければ」
と彼は再度自分に言い聞かせた。
自分が何を求めているのかを分析する間、彼の思考は続いていた。それに従い、動き始める。生き残るためには行動を続け、何かを手に入れることが生存の鍵であることを、彼は身に染みて感じていた。
さらに、時間を逃さず、少しでも希望の光を見出そうと、麗司は冷静な思考を保ちながら、リュックに食料を入れる。彼が望む状況を想像し、次のステップへの思考をめぐらせる。
「この小さな行動が、命を繋げるかもしれない。何かを手に入れるために、今動くことが最優先だ」
と決意を改め、それに向き合って行動することを選んだ。
生存をかけたサバイバルが彼に続く。恐怖を克服し、生き残りを図るため、麗司の心は希望と不安が交錯する瞬間の中を、丁寧に進んでいく。どれだけの困難が彼を待ち受けているのだろうか。そして、それを一歩一歩乗り越えて行くのだ。再び手にすることのないかもしれない希望を胸に、彼は進み続ける。
