第36話 「冬の温室でのサバイバルと成長の物語」

青志は、今日も温室の仕事に取り掛かることを決めていた。しかし、単に作業をするだけではなく、次のステップとして生活基盤をさらに強固にするための準備を進める必要があった。冷蔵庫も日々の食材が少なくなってきており、長期保存可能な食料品のストックを充実させることが急務だった。

朝の冷たい空気に包まれ、青志はゆっくりと身支度を整えた。厚手のコートと手袋を身に着けると、外に出る準備が整った。彼は自分の手がかじかまないように注意しながら、温室の土づくりと野菜の育成のための計画を改めて思いめぐらせていた。

「まずは、自分が何を育てたいか再確認する必要があるな」
彼は独り言を口にする。寒々しい外の世界を見回しながら、どの野菜がこの極寒の状況で最も育つのかを考えた。根菜類は冷気に強いが、紫外線や温度管理には気をつけなければならない。青志の頭の中には、いくつかの候補が浮かんでいた。

気温が低いため、彼は早速温室の掃除から始めることにした。温室は昼間でも冷え込みが厳しいが、少しでも外気の影響を抑えられるよう、しっかりと整備しておく必要がある。青志はお世辞にもきれいとは言えない温室の中を、慎重に道具を使って整理し始めた。古い道具や枯れた植物を取り除き、隅々まで掃除をする。
「これで少しでも清潔に保てれば、植物も元気に成長できるだろう」
と頷いた。

掃除が完了すると、次にプランターを再配置する作業に取りかかった。温室の中に光が入る位置や風通しを考えながら、プランターを動かす。
「この配置なら、植物への光の当たり方も良くなるはず」
と考えながら、彼は効率的なレイアウトを追求していた。何度か配置換えを繰り返し、最終的には満足のいく形に整った。

新しい土を使用する準備をしながら、青志はどうやって保存食を作るかも考えていた。彼は過去に学んだ保存食作りのスキルを活かし、ストックを蓄える方法を頭の中でイメージしていた。根菜類のピクルスや乾燥野菜、そしてスープの素を作り置きすることが、彼の生活を助けるに違いないと信じていた。

「次は、どの保存食を作るかだ」
青志は自宅の倉庫を思い浮かべ、可能な限りの食材を集める計画を立て始めた。特に彼は、中高生の頃に学んだ家庭科の授業を思い出しながら、マメを使ったさまざまな料理や保存方法に心を巡らせる。
「マメは栄養価も高く、保存も効くから、良い材料だな」
彼はそう思い、頭を掻いた。青志は自分の頭の中に、食材のリストを作り始めた。

仕事を進めていると、その合間にも温室で育てる植物の必要な管理について考えを巡らせた。彼は過去の成功体験を思い出し、特に大根やカブは冷え込みに強いとの情報を得ていたので、それらを育てることにした。この寒い季節に育つ強い植物たちが、少しでも彼を助けてくれると信じていた。

その後、青志は自宅に戻ることにした。彼はキッチンに行くと、短期間で作れる保存食に必要な材料を確認するために冷蔵庫を開けた。幸い、特に乾燥や凍結が必要な食材はかなり揃っていた。空の容器と保管用の瓶もある。しかし、彼は新しい材料を見つけるために外出する必要があると感じていた。

外に出る準備を進め、必要なものを取って、彼は外の世界へと出た。冷気が彼の顔を刺すようだったが、青志は心を定めて、必要な材料を集めに向かった。彼は近くのスーパーや商店が混雑しているという情報を前にして、少しのワクワク感と同時に緊張感を覚えた。

商店に向かう途中、彼は周囲の様子を観察しながら歩いた。人々はコートの襟を立て、顔を隠すようにして歩いている。彼自身もまた、周囲の視線を気にすることなく、必要なものを集めている自分を誇りに思った。近所の人々がどれほど恐れているのか、孤独がもたらすリスクを痛感していたが、彼は一人ではないということも理解していた。

商店に到着し、慎重に中に入る。彼は缶詰や乾燥食品を目にし、その中から自分に必要なものを選び取る。
「これで、しばらくは持つだろう」
と自分に言い聞かせながら、選んだ品々をカートに入れていく。

しかし、買い物中に思わぬことが起こった。子供たちが陳列棚の前で雪の雪玉を作って遊んでいるのを目にした。その光景を見て、彼は自然と微笑みだした。心のどこかで、自分が忘れていたこと、つまり温かい人間関係や笑い合う時間というものを思い出させてくれたのだ。
「楽しそうだな、冬の思い出を作る姿」
と思いながら、彼はその光景を眺めた。

買い物を済ませ、袋を持ち帰りながら青志は少しホッとした。どれほど厳しい状況にあろうと、彼は必ず乗り越えられるという自信がついていた。そうして自宅に戻ると、集めた材料を慎重に整理し、早速保存食作りに取り掛かることにした。

「まずは野菜を切って、ピクルス用の液を作るか」
と青志はキッチンで作業を始めた。彼は忙しそうに動き回り、冷たい手を温めるべく、立ちっぱなしで作業を進める。
「保存食も作りつつ、同時に温かいスープを作ればいいや」
と、同時にスープの準備も進めることにした。今晩はしっかりと温まろうと心に決めながら、彼は仕事に集中する。

スープ用の野菜をいくつか切りながら、彼の思考は次第に作業の合間に、これからの生活に向けた希望を思い描いている。
「温室で育てた野菜が収穫できれば、これにより新たな食材が加わる。そうしたら、自分の生活がもっと豊かになっていく」
と心の中で語りかける。これまでの孤独や不安を乗り越え、一人でも生きていける力が彼に宿っていた。

長い一日を経て、青志は自分の成長を実感することができた。自分の手によって生きる力を感じながら、彼は単なるサバイバルを超え、他者との繋がりを通じて成長していくことを決意していた。温暖な食事を堪能しながら、彼は未来に向けた次の一歩をしっかりと踏み出す心構えをしていた。

「次は、もっと大きな成果を出さなければ。冬を越えて、新しい生活を手に入れるために」
と自分に誓いながら、青志のサバイバルの物語はまだまだ続いていくのだった。彼にはもう、仲間に対して開かれる希望の光があり、それが新たな未来を切り拓く手助けとなっていくことだろう。