第17話 「サバイバルの孤独」

麗司は、コンビニを出る際に周囲を警戒しながら、その薄暗がりの中から一筋の光が見える道を急ぎ足で進んでいた。手には、少し重量のある新聞袋を抱えており、その中には冷蔵商品の数本の飲料水やインスタント食品が詰め込まれていた。緊張感が漂う中、無事にマンションへ戻ることができるかどうかが彼の心を何度も揺らぎせた。

「帰る…絶対に家に戻らなければ」

そう自分に言い聞かせながら、麗司は慎重に街中を歩いた。道路はかつての繁忙さを失い、微細な雑音のみが耳に届く状況だ。時折、廃車や散乱したゴミが視界に映り込み、かつての平穏な日常との乖離を実感させる。それと同時に、孤独感が彼を覆っていた。誰もが失われたこの終末的な世界で、彼は一人で生存をかけた犠牲者となり果てていた。

マンションのエントランスにたどり着いた際、彼の心臓は高鳴っていた。辛うじてリーダムを保っていたが、いつゾンビに遭遇するかわからないという恐怖が拭い去れずにいて、周囲を一瞬手で遮りながら、恐る恐る出入り口へと進んだ。ドアを静かに押し開け、そのまま迅速に中へ。

幸いにも、マンション内は静寂が保たれている。彼は手にした物資をソファの横に下ろし、安堵の息を吐いた。短いひと時ではあったが、やはり心身の疲れを感じずにはいられなかった。この一刻の静寂がどれほど貴重で、彼にとっての宝物であるのか再認識していた。

麗司は物資を広げ、手に入れたものの確認を始める。袋を広げ、飲料水のボトルや缶詰のフタを外し、一つずつ目を通していく。彼に訪れた安堵感は、ほんの少しであったが、希望をもたらしていた。食料が手に入り、少しながらでも未来に向けて一歩進んだかのように思えた。

「よし…次の準備だ。水を使い、食料を無駄にしないように守らなければ」

食料を保存しつつ、どのように今後を過ごしていくか考え始める。麗司の脳裏には、食料不足の危険性が思い浮かんでいた。特に水は、極めて重要な存在であり、その供給をどう維持するかが彼にとっての考えるべき課題だった。再び外へ出て、生活必需品を調達するためには周到な準備が必要だった。

彼は、冷蔵庫の中に食材がまだ入っていない状況を思い起こし、どれほどできるだけの水そして食料を上手に保っていけるのか考えを巡らせた。数本の飲料水はあるが、それすら簡単に枯渇してしまうのだ。思い立った彼は、最も安定した方法をいくつか考えつく。

まず、マンション内の水道が停止しているため、水を保管できる容器を常に確保することが不可欠である。瓶やタッパーを探し、できる限りの容積を確保した。次に、何かのサイクルで水を再供給できないかとも考える。近隣での水源があるかどうかを確認する必要があると感じた。

彼はキッチンの夕食を取り出して、それを取りっぱぐれやすく保存した後、無駄のない状態であることを考慮し、容器を一つ一つ洗い始める。清潔さや、確実に使用できる状態に保つことで、万が一の事態に備えようという意図があった。

「できるだけ捨てなくて済むように、一つ一つ大切に使おう」

その言葉を繰り返し、彼は水を汲むための容器をいくつか選び、清水を安心して蓄える方法を整えた。食料の保存にも同じ考えを貫こうと、缶詰を重ねていく。必要以上のものを抱え込まないよう、自分自身に言い聞かせた。

食料の選択についても、長期保存に向けて果たす役割を見極めることが必要だ。麗司はインスタント食品の中に目を凝らし、賞味期限の近いものを事前に選別し、急いで食べる準備を整えていく。サバイバルは自己管理と計画であり、計画をもって選択して行動を続けることでしか彼の生存は果たされないのだと。

彼の手の中の缶詰をそっと握りしめ、どれだけ情報を集め、どれだけ準備をしても、次の困難が彼を待ち受けていることを忘れないように意識していた。麗司は、悲痛な複雑さの中にある孤独と生存の現実をしっかりと受け止めなければならない。いつ来るかわからない脅威や絶えず変化する環境について、常に警戒を怠らないことが彼にとって最も大切だった。

マンションの中をだんだんと整理しながら、彼の心は不安に覆われていた。自分の居場所が本当に存在するのか、自分の存在が意味を持っているのか。すべてが奪われた世界のいなかに一人で佇み、これからどうなるのかが理解できない不安に苛まれていた。

「これからのために…生き残るための準備を」

薄暗い部屋の中で、麗司は心を無にし、調達してきた物資の効果的な保存方法を模索し続けた。食料を分けたり、水をスムーズに管理できるよう、細かい工夫を凝らすこと。それが彼にとって唯一の頼りとなる生活を維持するガイドとなった。

何よりも正確に、気を引き締め、冷静な判断が必要だ。彼は徐々に構築している生活の中で、難題を乗り越えながら挑戦し続ける力が重要だと感じる。ひたむきな努力で、彼は孤独な苦闘の中で生き延びようとしていた。

食料の管理を終えた後、今度は水の確保のために思考を巡らせた。水源の位置を探るために、もう一度外に出る必要がある。道は危険に満ちているが、食料と同様に水も生命を維持するため不可欠な資源だ。行動から逃げてしまっては、生き延びることはできない。

麗司は手を伸ばしながら、この終末世界の檻の中に自分自身を閉じ込めず、持てる力を最大限に引き出そうと、自らに力を与えようとしていた。彼は冷静さを保ちつつ、勇氣を振り絞り、次なる行動を決意する。生きるためには、彼の意志が何よりも重要であった。

「行くぞ、次は水だ」
と心の中で叫び、彼は再びこの状況に挑む決意を固めるのだった。どんな困難が待ち受けていても、麗司はあきらめない。
「生き延びる…ただそれだけだ」

そう言い聞かせることで、自らを支える力を持ち続ける。彼はこれからの自分の生存に向け、困難に立ち向かう姿勢を忘れず、果敢に挑戦を続ける決意を持って、次の一歩を踏み出そうとしていた。《次回へ続く》